ネタバレ・感想ありローウェル骨董店の事件簿のレビュー

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世界中で翻訳され読み継がれる名作足り得る
ネタバレ
2023年7月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 世界は此の後、再びの大戦を経て平和になると思われたが、私利私欲に駆られた者達によって、彼方此方で同じ国の同胞或いは国と国が戦って、数多の人人の心に癒えない傷を残している。
破壊された建物や田畑は元通りに再建されることはないし、失われた命は決して甦ることはない。
ロンドンの或る骨董店の店主デューイ・ローウェルは、画家でもあったが、「芸術を生み出す同じ手で人の命を奪うことは出来ない」ことを信条に兵役を拒否して投獄された過去を持つ。しかし、彼の弟のデリック・ローウェルは兵役を受け入れ激戦地に行き、左目と右手に傷を負ったために外科医の道を諦め検死官として働いている。
此の兄弟と幼馴染の刑事エミール・ドレイパーが其々の持つ知識と観察力と推理力を構築させて事件の真相に迫り、卑劣な犯罪者を白昼の下に曝す。
しかし、貴族という特権階級にある者の他者を人とも思わぬ血も涙もない所業に打ちのめされてしまった。周りの人々によって自分達が生かされていることに考えが及ばない者は結局自滅してしまう。
デューイの美術学校の学友であり親友でもあったジョナサン・アークライトは、日本人女性と結婚していたが、戦死したために、彼の妻子は屋敷から追い出されてしまった。日本に帰ることを決めた彼の妻は息子ケイ・アークライトの今後のために、デューイに息子を託す。
そのケイは、日本人の容貌を理由に学校でいじめを受けているが、教師やデューイに心配されながらも毅然としている。その態度に共感したアナベル・トラヴァーズがケイと友達になりたいと言ってくる。ケイに初めての友達ができる。
詰まるところ、戦争を食い物にする人種が存在する限り、此の地球上から戦争が無くなることはないだろう。
けれども、最近の地球環境を見る限り、争いを止めて地球を人類や生物の住める状態にしなければ、早晩此の地球上から生きとし生けるものがいなくなる未来がくるのはそう遠いことではないと思える。
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感慨深い
2022年3月10日
読み進めていく時に 奇しくもロシアがウクライナに侵攻し無差別に攻撃を加えている今 第一次世界大戦後の従軍した時の怪我やトラウマの話がオーバラップしてしまいました。ストーリーはとても面白かったです。
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1巻読んで
2019年5月15日
第一次戦争後の時代設定を巧く使っていると思いました。兄弟それぞれのトラウマや愛情からの苦悩、和解等を刑事の幼なじみを加え殺人事件解決を取り入れて「生きている事」をテーマに書かれています。兄が預かった戦争遺児に近いケイも良いクッションになり微笑ましい会話も良かったです。
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