このレビューはネタバレを含みます▼
幻冬舎リンクスロマンスは贅沢な仕様です。表紙の絵の一部分から作られたしおりが付き、挿絵は12ページもあります。和泉桂先生の流麗な文章を、梨とりこ先生の魅惑的な挿絵とともに読むことができます。
電子書籍には紙本についているそれらが無いのに金額は同じです。何故そうなっているのか理由が知りたいです。
322頁の長編小説です。
桐谷黎士が一目惚れした古閑侑生の身も心も手に入れたいと謀略を巡らしますが、その謀略ゆえに、侑生の心がいつまで経っても手に入らず、更に様々な計略を巡らします。
侑生は黎士の企みで肉体と心が乖離してしまって、憤りや憎しみが先行して、自分自身の黎士に対する気持ちが分からなくなっています。
石竜(せきりょう)という通り名のいい男が話の前半から終盤まで絡んできて、話を面白くしています。彼は侑生に情愛をくれます。
が、侑生は彼を選ぶことができないのです。先に黎士に出合ってしまっているから。