このレビューはネタバレを含みます▼
プラチナ文庫の別の小説の巻末に紹介されていたモノクロの『手錠』の表紙の絵とあらすじを読んで、いつかこの本を読んでみたいと思っていた。
試し読みをしてみて、結末を知りたいと思って購入してみた。
〖剛しいら〗先生の作品なので、<ヤクザもの>に興味がない私でも気分よく読めた。
主要な登場人物が3人いる中で、人間的に優れていると思われた救急外科医の松浦は拉致されて様々な状況に置かれてより成長したし、自分の中の愛を知ることができた。そして、愛する人を得ることができた。
その松浦に自分自身と人を愛することを図らずも教えることになったのが毛利の舎弟の裕司で、祐司にとって、松浦は恋人でもあり、生きていくうえでの師ともなる、自分の命に代えても守りたい人になる。
毛利も松浦に出会い、これまでの自分の人生を想い、これからの祐司の人生を考えて、彼にとって最善の決断をする。
恐らく、その後の毛利は、寡黙ではあるが存在感がある男になったに違いない。
彼も人間にとって何が一番大切なのかを、知り得たのだから。