このレビューはネタバレを含みます▼
以前紙本を購入して読んだことがあります。
確かに面白かった筈なのになぜか手放してしまって手元にありません。
内容についても朧気にしか憶えていないので、電子書籍を購入して読んでみました。
昨年福井県の恐竜博物館を訪れたので、恐竜の骨格について興味がありました。
表紙絵に描かれているのも本文中に出てくるのも龍であると思われるので、架空の生きものだと考えられています。
しかし実際に見たことはなくても古今東西の文献などで龍について語られたりあたかも見たかのような絵が描かれているので、実在するものなのでしょう。
美術の世界では、写実的なものもあれば、創造的なものもあります。
全てが製作者の意のままですが、批評家や一般大衆など多くの人々によって評価されることによって成り立っている厳しい世界であることに違いありません。
才能だけで通用するものではないでしょうけれど、努力だけで通用するほど甘い世界でもないのは確かです。
この小説では、芸術家たちの葛藤に恋愛色が絡まっています。
彫刻などの造形や絵画などの幾つかの作品が言葉で書かれているので、自分なりの想像力を持って形や絵にしながら読んでいく楽しさを味わいました。
愛情表現の描写が美しいので、絵で表わされていなくても心の中に思い描くことができます。
本文中のイラスト画像がないのも、自由裁量ができる楽しさがあっていいのかもしれません。
また、主人公達の姓名が素的でした。
佐宗遼河、三嶋倫生(ともき)など人物が目に浮かぶような姓名です。