このレビューはネタバレを含みます▼
講談社x文庫ホワイトハートでは表紙を飾った月と飛牙と那兪は、講談社文庫では口絵となって此の小説を読む人を天下四国の国の一つである越での二人の活躍の物語に誘います。代わりに表紙となった麗しい裏雲と宇春が鴉の濡れ羽色のような趣で此の三巻を飾ってくれます。
一巻でも二巻でも、まるで天に導かれるように次々と物語の主要人物に出会ってきた飛牙と那兪ですが、三巻でも、早速越の三の宮余暉に出会って彼を助けて係わりを持ってしまいます。
徐の国から越に嫁いだ王后瑞英や一の宮、二の宮、三の宮や裏雲、那兪も総勢で飛牙と共に十四年周期で王都に災いをもたらす暗魅屍蛾の驚異と戦います。ところが、屍蛾の襲来が去ってまた一難、翼竜の群れが襲ってきて王城に少なからぬ被害を与えます。悲しい被害者が出てしまったのですが、此れをいい機会と捉えて三十三年に亘る王の跡目争いに終止符を打つことになります。しかし、翼竜との戦いに干渉してしまった那兪は、天に回収されてしまいました。
次なる四巻目は天下四国の国で最も内情が分からない駕の国に往くつもりの飛牙ですが、気安い従者の那兪が居ない彼は独りでの道行になりそうです。