先生の作品は、多分一番有名な『極道さん〜』シリーズをコミカライズで読んでいて、小説は四冊めです。どの作品も多かれ少なかれ「死生観」みたいなのが語られていて、悲しかったり寂しかったりの感情は湧くものの、どことなく優しさや穏やかさを感じる作風が大好きです。しっかり根底のテーマについて考えさせながらもクスッと笑える要素もあって、気づいたら読み終わってしまいました。
始まってすぐの展開があまりに早くて驚きでしたが、最初からグイッと引き込まれました。話の大半は口下手(天様)と鈍感(恵)の微笑ましいやり取りと可愛いすれ違いで、楽しく読めました。
神話の世界は馴染みが薄く、固有名詞の数々は一度のふりがなでは覚えきれなくて困りましたが、ラスト付近では、早口言葉のように「天之御中主神」をスラスラ言えるようになっていて、終わってしまうのが寂しいほどでした。