妬ましい程才能に溢れているのに、どこか可愛らしく、無邪気で、たまらなく愛おしい。そんな3人のピアノの(音楽の、というべきか)天才たちを軸に描かれるピアノコンクールを題材にした快作にして傑作。
いつかまたどこかで彼らに会いたいと自然と思わさせられて、いや物語の中の彼らなのだから会えるわけがないのにと思い、でもまたすぐに、いや、この作品を心に留めたなら必ず会える時は来る、そんな風に心が揺り動かされる作品だった。
また、天才にも必ず必要となる支える優しき存在や、苦悩と葛藤の中で諦めることなく挑む者も魅力たっぷりに描かれており、どの登場人物たちにも最大の愛情が注がれている。
作品に登場する全員に優しくスポットライトを当てるかのような、作者の心意気にも胸打たれる。恩田陸ここにありと唸らずにいられない名作だった。