一見よくある王子溺愛系ですが、本質はそんな甘いものじゃないです。
厳しい厳しい妃教育を7歳の頃から強制され続けたヒロイン、レティシアは、その厳しさに辟易し、いつか自由を手にいれる、つまり婚約破棄を目指し堪え忍んできたかわいそうな令嬢です。あるパーティで婚約者の王子が知らない女性をエスコートしているのをみて、さらになぜ自分をほったらかしにしているのかという追及にはしどろもどろ。婚約解消だ!と喜び逃げ出すヒロインですが、すぐさま捕まります。そして婚約破棄は誤解だと知り、最終的に絆されるのですが…
逃げても逃げても追ってくる王子は、執着愛がゆえ、なのかもしれませんが、根本的にヒロインのことを理解しようとしていないようにしか見えない、つまりただのわがまま王子にしか見えません。手籠めにしない、なんて言って紳士ぶりを出してるのかもしれないけど、そういう問題じゃないだろ!とツッコんでしまいました。
ヒロインの兄も兄で最低です。ヒロインを出世の道具としてしか扱わず、最終的に鉄格子のはまった部屋に入れて結婚式まで日を過ごさせるとか、狂気の沙汰です。ギャグでさらっとごまかしてるのかもしれませんが、「俺はひどいやつなんだ」的な自覚の一言で済まされるレベルじゃないです。
最後にヒロイン、あんなに自由を欲してた10年はどこへ?という脱力感に襲われました。王子を意識した途端、ドキドキしだす、というのは定番なんでしょうけど、それにしてもあっさり絆され過ぎ…。貴族だからいつかは結婚しないといけないなら、王子の婚約者が…なんて行ってましたけど、婚約破棄して田舎で暮らそうとしてたんじゃないの?婚約破棄したのに、貴族のままでいられると思ってたの?庶民の生活を熟知している…みたいな書き方があったけど、結局は貴族でいるの?と、混乱しました。なんか、タイトルでは王子と兄をなじってますが、書いてるうちにヒロインにも難あり、というのがわかってきました。厳しい妃教育に耐えてきたはずなのに、気品さが感じられないし
他にも婚約破棄だと誤解した王子にエスコートされていた女性や、ヒロインの侍女など周りのキャラもいかしきれていないし、なによりみんな王子側の者(ヒロインに同情しない)なので、ヒロインが可哀想でした。
総じて、ビミョーです。
軽いギャグと溺愛王子をさらっとよみたい方におすすめします。