ネタバレ・感想あり墨の香のレビュー

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漢字一文字の意味を知りながら読む物語
ネタバレ
2026年1月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 私たちは、漢字や平仮名がそれぞれ組み合わさって初めて意味を成した言葉になると教えられました。
学校で『仁』という一文字の漢字の意味を教えられたのかどうか憶えていません。
そして、『仁』という字の持つ意味を説明できません。
今回、この物語の主人公の岡島雪江が自身の指南所に来る娘たちに教えているのを読んで初めて知ったような気がします。
また、筆と墨を使って書く毛筆は、私たちが鉛筆などで書く文字とは書き方が全く違っています。
手を浮かせて筆で字を書く難しさは、過去に私たちも習っていたので十分過ぎるほど知っています。
さて、雪江の家族は物語の冒頭から、弟の新之丞や母の吉瀬や名前だけで時々その動向が知らされる隠居した父の采女(うねめ)などが現れます。
雪江を雪江たらしめている魅力的な人たちです。
そして、主人公に感情移入しなければ、物語を愉しく読むことができません。
雪江と共に私たちも悩み、悲しみ、憤る。
書家になったつもりで、師匠を唸らせるような書を書く。
暫(しば)し、空想の世界で自分以外の人になってみます。
実は、雪江の役者のような美男の弟の新之丞は、見事な働きを見せて雪江を何度も助けてくれます。
また、母の吉瀬は雪江が気付いていないところをそれとなく分からせてくれます。
出戻ったお蔭で会えた人たちが沢山いて、反対に雪江のお蔭で救われた人もいます。
人と人の出会いの妙、人と人の縁の不思議さを思います。
それについては、私たちも現実に感じていることです。
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