このレビューはネタバレを含みます▼
表紙絵が目に留まらず惹かれなかった所為で今まで読もうと思いませんでした。
偶々、作者があさのあつこ先生だということに気付いて試し読みをした処興味を持ったので読んでみました。
主人公の一人、おちえと周囲の人々との会話が面白いので、読み進めるのが楽しかったのですが、おちえが剣術の稽古を始める切っ掛けとなった凄惨な事件を知るにつけ、いささか気分が優れなくなってきました。
確かに表題が『~事件帖』となっているので、捕り物であることは理解できます。
それでも、余りにも次々に事件が起こると、話の筋書き上必要なのは納得できても少し手加減できないかと思ってしまうのです。
刃物等の危険物の取り扱いは厳重注意なのです。
歴史的に見ても、刃物の存在と発達が私達に利益だけではないものを齎してきました。
本来は料理に使われるべきものが狩猟などに転用され、果ては戦いの道具になってしまいました。
武士に二刀は当然のものとされたのですが、持っていれば使いたくなるのは道理でしょう。
人品卑しい人までもが持つことに誤りがあるのでしょう。
事件が一つ片が付いたのですが、後味が悪い幕切れで何とも救われない思いがしています。
こんな終わり方は誰も望んでいなかったでしょう。
やり場のない憤りをどこに持って往けばいいのか。
なんかすっきりしません。