この作品は、無残な事件で精神崩壊寸前となった、唯一の王族生き残りの若い王を支えつくす ことがストーリーの主軸なのかと読むと、途中で肩透かしになります。
この王政を支える両輪の公爵家と侯爵家が、残酷ともいえるような最善策を考えだし、それを、公爵家の器の大きな少女が、次期侯爵となるヒーローとともに、必死に遂行していきます。この次期侯爵は、10年離縁計画、そして離縁される王妃との再婚という、壮絶な目的を支えに、ただひたすら王妃の幸せを願い、王政をささえる宰相の任務を果たします。
なんといっても、セリフのやりとりが楽しいし、そのセリフにそれぞれのキャラクターの人柄がでていて、味わい深い作品でした。でも、王政を支えるための布陣を確固たるものにする方策は、とても楽しいだけのものではないので、私は、イラストなしでは、この作品を最後まで読む気にはなれなかったと思います。