全726ページと大長編でした。普通に考えてかなり長い話なのですが、そうと感じさせない構成が素晴らしかったです。一時期ドラマ、映画化されて気になっていたものの、内容はノータッチでしたが、小説だと主人公視点が一切出てこないのですね。まあ、確かになかなか感情移入できない二人組で、周囲の人たちのほうが常識人なので手法としては正解な気がします。中盤から後半にかけて徐々に真実にたどり着いていくところでどんどん引き込まれ、夢中になって読みました。ラストは何とも切ないですが、「ここで終わりなんだ!」という余韻が残る感じもあるので、主人公視点のある映画やドラマも観てみたくなりますね。亮司と雪穂の関係性は「一心同体」とか「究極のパートナー」というような表現が合うのかな。主役二人の交流がはっきり描かれていないので、普段どんな表情でどんな会話をしていたのか気になりました。それによってラストの印象も変わりそうです。二人とも超人的であらゆる能力が高すぎるのと、人間味があまり感じられないので、ミステリーと言うよりホラーやファンタジーを読んだような読後感でした。亮司は後半にかけて同情の余地があるキャラに見えてきましたが、雪穂はだんだん不気味さが増して「嫌な女だなぁ」という印象が残りました。