この作者さんの作品を、ソーニャ文庫の「騎士の恋」で初めて読み、その後、複数の作品を購入して読みました。
一卵性双生児の、母親の死と引き換えのように産み落とされた二人の御子。これのカラクリは、他の方のレビューの通りにわりと早く分かりますが、どのような育てられ方をしてきたのか、なぜサイコパスのようになってしまったのか、を納得できる文章でした。前半までの内容は、親友のリコリスとのやりとりが良いスバイスでした。王太后については、セリフには、「騎士の恋」の女王を思い出すような冷徹さがありますが、悪役の首領なのにしょせん脇役のような扱いでした。最後の殺戮シーンは、なかなか暗躍的で面白かったですが、途中、再三繰り返された、ザックが、王になりかわるために巻いてきた種々の策略 (種) のお披露目は漠然としていて、その点が中途半端だと思います。この作者さんの作品は筋立てや展開は面白いのですが、結末がちょっと雑だなと思います。
ソーニャ文庫の番外編は、目線をかえてあって、とても面白かったです。