ネタバレ・感想あり呪禁師は陰陽師が嫌い 平安の都・妖異呪詛事件考のレビュー

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蒼蒔摩衣琥絵師の絵は人心を惑わす魔力有り
ネタバレ
2023年8月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ この話は、三話に分かれています。
まず、一話目は『偽の祓』という題ですが、扉絵に呪術に使われる人型の木が描かれていて、物語の背景となるものを暗示しています。陰陽寮の学生の賀茂忠行は、薬師竜胆の力を借りて、権中納言の死の真相を突き止め、自分に掛けられた嫌疑を晴らすことができます。
次の弐話目は、『大路の鬼女』という題で、扉絵には、猫科動物の前脚が、大きく描かれていて、これもまた、物語の内容を暗示しています。呪禁師に蠱毒で恨む心を操られた猫のほたるを竜胆が助けます。そして、ほたる火という名前を付けて一緒に暮らすことになります。
最後の三話目は、『もがりの子』という題です。扉絵には、梅の木が控えめに描かれています。思いを遂げたものの離れ離れになってしまった青年と、娘と、その二人を思い遣る心根の優しい男の物語です。罪人は、自らの命で罪を償い、罪のない小さき命を救おうとした竜胆は酷い怪我を負ってしまいます。竜胆の思いの深さに打たれた道摩は、自分の仕業を恥じ入って、竜胆の怪我の処置をします。寡黙ながら、性根の真っ直ぐな竜胆は人も人ならざるものも惹きつけます。
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