ネタバレ・感想あり月の汀に啼く鵺は 巷説山埜風土夜話の相続人のレビュー

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絶縁状態だった祖父を知る一夏の冒険
2021年5月12日
絶縁状態だった祖父が亡くなり、遺品を整理していたら祖父が書いたと思われる遺稿が発見された。その内容になぞらえたかのような事件が起きて巻き込まれていく。民俗学が好きなので興味深い話でした。ホラー色が強いお話もあり、ヒヤッとすることも。お祖父さんが主人公・晶達と絶縁状態になってしまったのにはきちんと理由があります。お祖父さんの不器用な性格も大きな原因ですが、タイミングが悪くて仕方なかった面もある。主人公・晶は一夏を通して祖父のことを知っていく内に祖父に対する感情が変化していく。少しずつ向き合っていってほしいなと思います。晶と雫のブラコンっぷりも良かったです。
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黒衣の直江晶は麗し、題名は替えた方が
ネタバレ
2023年6月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 直江晶の祖父直江槇は、妻リョウを亡くして、長女の沙穂を苦労して育て上げた。その沙穂が妻子のある人の子を産むと決めて家を出たのが20年前。独りで子を育てる苦労を図らずもその娘が二度も繰り返すことになると誰が想像しただろう。母親が看護師だと、子どもは苦労したかもしれないが、生活力は付く。現に、晶も雫も家事も勉強もどちらもできる。更に、雫には異能力がある。
しかし、2年前に沙穂が事故で亡くなったときは、晶はまだ18歳で、雫は14歳だった。まだ、未成年で、悲しみから立ち直るのにも、自分たちの将来のことを考えるのにも並々ならぬものがあったはずだ。せめて、この時に遅ればせながらでも、直江槇が孫である晶と雫の様子見にでも行っていたらと思う。
槇と晶が外見的に非常に似た設定にしているが、それに沙穂が気が付いていたのかどうか。身内の見方と、他人の見方は違う。しかし、骨格が似ているとたぶん声も似ていただろう。でも、性格とか思考とか能力は外見によって左右されることはない。持っている魂が違うし、成育過程も違うので、別の人格になる。
祖父槇の死を、孫の雫と晶を救うための時空を越えた未来への干渉という設定には無理がある。原作者は話を自由に作れるという裁量権があるが、この最後の章に話を集約したかったにしても、白けてしまった。自分の命をかけて助けに来なくていいから、もっと早く認めてくれたらと思ってしまう。20年は誰にとっても永い月日なのに、無為に過ごしてしまったそのことを悔やんで謝って欲しいと思う。沙穂も槇も子や孫を不自由な目に合わせて、そのうえ、早逝して遺物や遺産の処理で迷惑を掛けている。
作者が訴えたかった主題などが少しも見えず、失ってしまった時間が哀しい。
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