はじめは必死でひたむきで余裕もなく。ただ未熟ゆえに危機を迎えてそれをはねのける王道主人公。で、レベルの高い作品だった。
ただ、そういう作品の場合、主人公が成長して、危機を抜けたあとの展開って難しい。この作品も、主人公の魅力などを落とす悪手をいくつかやってしまっている。
成長して、余裕が出てくると、いろいろ手を出しはじめるとか。ラブコメが増えてくとか。で、そんなことをやってて、危機になるのは、油断、慢心、傲慢ゆえ。メインストーリー部分以外の余計な部分が増えるとそういう部分が強調される。危機が、だれかが死ぬような深刻なものならなおさら、主人公がバカというか、傲慢にみえる。この作品もそういうのをやらかしている。
あと、こういう主人公よくいるんだけど、根回しとか、人間関係を軽視というか、よく人間関係的にぶつかる。ゲーム内のキャラ扱いで人間扱いしてないのかね?と思ったりする。主人公の好感度がだんだん落ちる作品。偉くなってからも下っぱのときと同じキャラだと、権力に立ち向かうキャラから、下をいびる人になってしまうので。
あと、エロゲまったく関係ないというか。これ恋愛ゲームって名称にしたら、タイトルで拒否感起こす人がいなくなるのでは?と思う。
わりと、欠点とか荒らさが目につく作品。
ただ、個性的な長所もあって。描写が、主観的第三者みたいな書き方するんだけど。読みやすくて面白い。観客的な感じの書き方で特徴的だと思う。この作品は違うのだけど、主観的第三者視点で描写してる作品は、自分の作った世界観に酔ってる神みたいな書き方の鼻につく作品が多いので、この作品みたいに面白く読める作品は珍しいと思う。これは素晴らしいと思う。
なので、欠点も多いけれど、大きな長所もあるので、星4くらい。才能とかセンスが素晴らしいけど、読者とか売るって目線のプロじゃなく、書きたいように書いてるセンスあるアマチュアっぽい感じの作品。名作とか傑作になり得るポテンシャルはあった気もする。少しもったいないと思った。