このレビューはネタバレを含みます▼
(原題: Dance on my Grave)
ユダヤ人墓地にある亡くなって間もない友達の墓を冒涜した罪で逮捕→裁判中の16歳ハル。黙秘を続ける彼の手記と、ソーシャルワーカーの面談レポートの構成で判明する彼のひと夏の苦しい青春。
進路を悩む無欲ハルの前に、白馬の王子のように現れた18歳バリーとの刺激的な日々は、七週間で残酷な終わりを迎える。
その終わりから始まる物語。
特に前半、中二病炸裂し混乱中の少年らしい皮肉混じりの尖った文章で綴る手記は、ユニークで読みづらく挫折しそうに。でも彼の気付きと書く行為の意味の深さが伝わり、その着地を知りたい後半は引き込まれました。
冒頭ヴォネガット(好きな作家さんです)の名言引用と、終盤の冷静なカーリの洞察と、ハルの心情を読めて良かったです。
作者チェンバーズさんが1960年代に目に留めた新聞記事をヒントに生まれた少年の喪失と再生物語だったのですね。
U-NEXTの洋画『Summer of 85』 →原作本に辿り着きましたが、この原作を選んだ映画監督の意図がわかる気がします
※シーモアさんのジャンルTL小説は違いますね…