このレビューはネタバレを含みます▼
今も昔も男の人が育児に関わることはほぼないと言っていいでしょう。
菅原道真は、人として生きてきた時は全く関わることのなかった育児を、死後神となって初めて経験します。人と鬼の半妖である行夜は人間の子とはまた違った育て方の難しさがあったでしょう。そして、自分が赤子の時から十六歳になるまで成長を見守った行夜の可愛さは、実の子以上だったはずです。そういう訳で、朝から晩まで始終行夜に付き纏って大変迷惑がられているのです。
読み進むにつれて、神である筈の菅原道真でさえ判断を誤ってしまい、行夜に正しい道を教えられます。真に、この時に子が親を超えたのです。
行夜は、自分の本当の両親が誰かを知っています。けれども、何もわからない赤ん坊の自分を大変な思いをして育ててくれた養い親の菅原道真を誰よりも慕っているのです。
昔の人はよく恨みつらみでおん霊になったように言われていますが、現代の人がそうなった話はあまり聞きません。昔と今と何が違うのでしょう?