「友情」とはなんか違う、「愛情」もしっくりこない、「自分の半身」という言い方が私には今のところピッタリかな。どうしようもなく惹かれあい、生きていく支えとして自分の中にあり続ける存在。そして、出てくる男性、フジノもミナトもただただ優しくて、穴の空いたような自分のそばにいてくれる大切な人で。最後の、ミナトとカノンの会話は本当に切なくて、なんでこの人と一緒にいれないのかという気持ちも湧いて出てきて。でも自分の一部を埋めてくれる相手は1人しかいなくて。ラスト、臨場感があって、その先は読者に委ねられている。どうなったとしても、それが幸せなのかどうかなんて分からないけど、子どもと同じで今に生きるしかない、そんなことを思わせてくれる作品だった。描写も丁寧で読みやすかった。