このレビューはネタバレを含みます▼
嵐静は、ただ一人命の危険を冒してまでも、自分を匿い生きながらえさせてくれた翔啓に命の危機が迫った時に、自分の身を呈してまでも彼を守ろうとします。けれども、その行為も虚しく、自分の身を貫いた剣が翔啓をも傷つけてしまったことを知ります。
そして、生命の理に反して意志の力によって生死を危ぶむほどの大怪我を生き抜いた嵐静は、自分たちを害した者の言葉に従うことを誓い、翔啓を生かしてくれるように頼みこみます。その誓いは受け入れられ、嵐静は、静羽と名を変え悠永城の後宮で「皇后の剣」として、その後の十年余りを生き抜きます。
嵐静と翔啓の友情の物語ではあるのですが、嵐静を忘れてしまったはずの翔啓が否応もなく静羽に惹かれていく様が痛々しくもうれしく悲しいです。
世にも非道なことを行った者は、因果応報の理によって報いを受けます。
物語は複雑に錯綜しますが、嵐静が守り抜いた心根の優しい翔啓によって静羽は助け出されるのです。
どうぞ、二人の友情の物語を楽しんでください。