ネタバレ・感想ありとわの文様のレビュー

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先が気になる
2023年5月24日
この作者の他の本が面白くて、これも購入しました。読んで、しまった!と思ったのは、どうやらこの先も続く話のようで、この先、永く購入することになるかも、と思えるからです。
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吉祥文様や異国の模様に安寧を願い身に纏う
ネタバレ
2023年9月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 第一話『麻の葉』では、利一に匿われた豊という名の産み月近い腹をした娘が着ていた長襦袢の模様が、安産を願う麻の葉である。彼女の手先の器用さを見込んだ十和が豊を常葉屋の仕立処の住み込み針子にする。
第二話『蜘蛛』では、常磐津の師匠菊乃とその許嫁礼次郎は武家の出であるが、執拗に二人を目の敵にして付け狙う地元の藩主の息子に滅ぼされんとしていた。運のいい利一はその礼次郎に亡き者にされるところを、掠り傷で済んだ。菊乃は既に武家を捨てて町人として生きている。菊乃は礼次郎を武士の体面で死なせたくないので、町人となって共に生きようと誘う。その時に菊乃が着ていた着物の柄が蜘蛛の巣。自分の力で幸せをつかみ取ろうとする力強い意志を現す吉祥文様である。
第三話『更紗』では、千枝という名の娘は家出をしてきて、お茶屋で働いている。そして、自分が振り回して迷惑を掛けた姉のお千津と新吉が共に作る反物を売る手助けをしたいと思っている。利一は異国の更紗という布を見せて、お千津と新吉で新しいものを作ってみてはどうかと勧める。そうしてでき上がった異国様江戸風更紗は、多くの人を虜にしそうだ。
自分で自分の着るものを縫ったり、呉服屋で反物を見て自分の寸法に合わせて誂えて貰っていた時代は、今にして思えば、何と贅沢な時代だったのだろう。
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作家名: 永井紗耶子
出版社: KADOKAWA
雑誌: 角川文庫