このレビューはネタバレを含みます▼
たぶん、朔夜は、高校入学と共にほぼ一人暮らしの日々になっていたと思われます。
結婚生活が破綻した彼の両親は、彼が成人するまでは離婚しないことに決めています。
義務教育が終わるまでは、両親は少なくとも家からそれぞれの職場に通っていた筈です。
それが、高校に入学したのを境に生活費だけを置いておかれる生活になったようです。
彼は、日常生活のあれこれを総て自分でしなくてはならなくなりました。
学校に通いつつ勉強もして、家事も熟すとなったら、それ相応の知識がなければやっていけません。
買物、炊事、洗濯、掃除、ゴミ出しなど、日々の暮らしは手を抜けないことも多々あります。
これから、高校の三年間と大学の四年間と果てしなく長い孤独が続いていくのを覚悟して気が遠くなっていたに違いありません。
ところが、ある時、朔夜のことが気になっていた拓磨に声を掛けて貰って、拓磨の家に行き夕食までご馳走になります。
拓磨の家の家庭事情も教えて貰って、それからはなし崩し的に拓磨の家に入り浸ります。
もしかすると、初めて親しくなった友人が拓磨なのかもしれません。
毎日のように拓磨の家に行き、共に勉強し食卓を囲む日々が、両親のいない抜け殻のようなマンションに過ごす淋しさを忘れさせてくれたのに違いありません。
そのうちに友人関係が変容して、二人は『禁じられた遊び』に嵌ってしまうのです。
もはや友人とは言えない間柄を何と呼べばいいのかわかりません。
それでも、心の中ではお互いに対する想いは、『友情』から『恋情』にいつの間にか変わっているのでした。
拓磨は、朔夜と恋人の『キス』がしたくてしたくて堪らなくなって、心の内を告げるのですが、『別れ』が恐い朔夜は、思い切れないのです。
お互いの両親の結婚が破綻しているので、次の段階に進むのが怖いのです。
そういうわけで、朔夜は、自分の想いを母に告げて、母と決別します。
そして、拓磨と恋人として付き合うことにするのです。