私は、男性が自分を指す一人称に「俺」や「僕」を使うのが余り好きではない。美しい人には特に使ってほしくない言葉だ。直江日向が「俺」と言う度に上書きしたくなる。
レオ・ベルトラントは、日本に来てからは、夜に彷徨い歩いて、気に入った男女から血を貰っていたのだろう。彼のような綺麗な男から誘われたらほぼ全員が付いていっただろう。
日向は、自分の見た夢を何故か全て真実のことと思い込む癖がある。夢は夢で、本当のことではないのに、自分の中で人の心を決めて、勝手に自己完結する。知らないことや分からないことは聞いて見るのが筋なのに、それすらもしない。そして、自分も、レオをも破滅の一歩手前まで突き進めさせてしまう。
詰まるところ、日向はレオを自分のものにしたかったし、レオも日向に執着しているようなので、かなりの紆余曲折は、これからもあるかもしれないけれど、二人にとっては幸福な期限付きの未来はあるのだろう。誰もが自分の死期は分からないのだから。