このレビューはネタバレを含みます▼
『三つ子の魂百まで』という諺があります。
この物語の冒頭に出てくる信太の好物は、蕎麦、あられ、天ぷらなどと、美味しそうな食べ物が次から次へと書かれています。
恐らく迷子になって物乞いをするようになってからは食べたことがないはずのそれらの味を彼は覚えているのです。
三つまでは、そういうものが食べられるところにいたのでしょうけれど、火事の後に焼け出されて彷徨って恐い目に遭ったことで、自分の名前や諸々のことを忘れてしまったのでしょう。
けれども、えにし屋のお初に出逢うことで道が拓けてきます。
真っ当な人生を歩む人と人の道を踏み外す人の違いは何なのでしょう。
私達は、物語の中でも現実の世界でも、日々出会い見掛ける人から色々なことを学びます。
それらを自分の糧にしたいものです。