ネタバレ・感想あり君が死にたかった日に、僕は君を買うことにしたのレビュー

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読後に宮沢賢治を読みたくなった
ネタバレ
2025年6月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ これはなんというか、ライトノベルではないだろー!って思います。
ラノベだともっと何かが欲しい。とか、モヤっとしたものが残る。ってなるかもしれない。
でも、この本の良さはその余白の美しさだと思うんですよ!
ラノベというよりは純文学に近い美しさだと思うんです。
電撃小説大賞をよく知らないんですが、個人的に「女による女のためのR-18文学賞」の雰囲気に近いと思いました。
彩瀬まる先生、滝田愛美先生、町田その子先生の書く世界観に近い気がしました。

設定は不憫さてんこ盛りなのに、文章は淡々としていて、でも心理描写は生々しくて。この作者さんは、諦念の向こうにある感情をよく知っているんだな。と、いろんなものが読んでてぐちゃぐちゃになって、でもその静かな文章に救われもしました。

久しぶりに泣けたけどでも気持ちは妙に穏やかで、尾崎放哉とか山﨑方代の詩を読み返したくなりました。
でも1番最初に浮かんだのは、直裁的だけど宮沢賢治の「永訣の朝」で…
芸術という意味で、美しい本を読んだ。って久しぶりに思いました

これはちょっと本当に映画化して欲しいなぁ。
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愛って何?
ネタバレ
2023年10月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ タイトルに引かれて読みました。「透過色彩のサイカ」が元のタイトルで、第29回電撃小説大賞 選考委員奨励賞受賞作品です。前章は「透過色彩の災禍」で後章は「透過色彩の歳華」、歳華とは年月のこと。君の時間を月20万円で買わせてくれない?ー病気の母親を亡くし、借金を背負って働く坂田史宏は高校2年生ですが学校に通えておらず、そんな史宏に良家の子息 西川香月は同じ大学に進学して友人として振る舞うことを条件に資金提供を申し出ます。家庭的に恵まれない子供の不安定な境遇が多く書かれていて胸が詰まるような気持ちがして泣けました。この契約の裏にあるものに意外性がなく、湿っぽくならずに淡々としていてよかったような、物足りなかったような、何か香月に向けての言葉でもあればよかったように思いますが、その必要はなかったのかもしれません。年を経ると香月の思いが文宏にもっと届くような気がします。
2023年7月 総174ページ 挿絵なし
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