このレビューはネタバレを含みます▼
私たちが自分の仕事について考えるのはいったい何歳ごろでしょう?
早い人は幼少期に既に憧れの思いと共になりたい仕事を決めています。
遅い人でも大学生になって就職活動を始めると否が応でも決めなくてはならないのだと思います。
さて、主人公の河合涼太は、卒論を仕上げる段階になっても、大学院に進むことを決めていましたが、就職については全く考えていませんでした。
彼は、六歳まで母独り子一人の生活を送っていました。
多忙な母親だったこともあり、知り合いに預けられたこともあったでしょう。
また、七歳からは叔父叔母が親代わりとなって慈しんで育ててくれました。
この親代わりの人たちが彼の気質と性格と特性を形作ってくれたのに違いありません。
その時の美しい母を失ってしまったという喪失体験によって、彼は美に対する観念的な想いを数学的で普遍的なものに塗り替えます。
ある時出合った美しい和菓子は、彼にとって美の具現だったのです。
そして、彼は、その美しい和菓子を作った職人を師と仰ぎたいと思います。
その後和菓子職人になる為に入学した製菓学校で、四人の個性豊かな女学生たちに出逢います。
実習で同じ班になった、遠野寿莉、堂島爽果(さやか)、田城陶子、峯崎朱音(あかね)たちとは、放課後も一緒の時間を過ごしました。
でも、表紙絵にもどこにも登場人物たちは描かれていません。
彼の容貌は描かれていないにしろ、母親が美人だったので、おそらく美男だと思われます。
そして、性格が稀にみるほど良くて、話しても楽しいので、女学生にとっては興味を惹かれる対象になったはずです。
卒業後の進路はそれぞれ違っても、生涯の友として長く付き合っていくに違いありません。
そのうちの一人とは、親しく付き合い始めたようですので、いずれ素的な知らせが友のところに届くでしょう。
補足ですが、この小説の元になった単行本の『和菓子迷宮をぐるぐると』の表紙絵の和菓子が芸術品のように美しいです。
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