この小説の表題が『天才画家になりそこなった友へ』となっているので、読む前から既に、その言葉を発しただろう益田麻人に対して先入観を持ってしまいます。
作者や担当者が工夫して選んだ題だろうと思うのですが、何故、読者が主人公達を見誤ってしまうような題を付けるのかといささか不信感が募ってしまって、小説の世界に入り込めません。レビューを書くために三度目に読み始めて挫折してしまいました。
新人作家の方ですが、現役の作家の方々に匹敵するぐらい文章力が優れていると思いました。
今作は、イラストレーターの笠井あゆみ先生が担当してくださったので、多くの人が手に取って読んでくれたのだと思っています。
けれども、やはり表題の件が尾を引いて、心から物語を楽しめない人が多かったのだろうと推察されます。レビューしている人の人数からも見て取れます。
次回作には、一番相応しい題を付けるようにして欲しいと思っています。