このレビューはネタバレを含みます▼
恋愛要素ほぼ無し。主人公は記憶がないので敵味方が判らない。特に味方のふりした敵が怖くて警戒する。その点を軸に話が展開します。婚約破棄を突き付けたテンプレ浮気野郎王太子はだいぶ脇役扱いですが悪人度はかなりなもの。押さえつけて虫入り紅茶飲ませたり、女関係以外にも色々と人間的に終わってる。作品としてはとても面白く、結末が知りたくてどんどん読み進めたくなる展開で良かったのですが、単純に個人的に、父親は本当に主人公が思うほど善人か?とは思いました。将来的に兄は表面上は穏やかな人生でも精神的には常時過去の判断の過ちを思い知らされる贖罪の人生を送ることになりそうですが、父は一切そんな事なく心底幸せな老後ですよね。兄をこんなに歪ませたのは父公爵の家庭方針にあり、それに主人公の記憶が無くなる前までかなり貴族的で子供に無関心で主人公の切実な訴えを無視して暴言を吐き主人公の心を完全に叩き折ったのは紛れもなく父公爵なんだけど、主人公的には兄と違って父は信頼できる完全な味方で一緒にいると安心~みたいに父にべったり懐いていてちょっと兄が不憫でした。兄を許せないのは判るけど、それを言うなら父も同罪かそれ以上じゃん。ともあれ、ストーリーは面白かったです。