このレビューはネタバレを含みます▼
冒頭、少し理解し難い光景に首を傾げた。幼い頃から育った田舎の島で暮らし、夫の浮気をこともなげに容認する主人公。それは、哀れな姿にも見える。
その後、主人公の少女時代、父親の不倫をきっかけに破綻した家庭と、決して母親のようにはならないと誓う主人公が描かれる。島を出たい。自立したい。良い妻の振りをして自分を押し殺したり、全てを捨てて男に縋り付いたりするような女にはならないー。
それなのに、なぜ冒頭のような行末に?結局は遺伝子やしがらみからは抜け出せないということなのか。
魂が引き合うように惹かれあった二人が、家族や、世間や、抗えない大きな渦の中で心までも離れ離れになってしまう。
それでも、心の中に、同じ星があった。
距離を超えて、歳月を超えて、輝き続けている星があった。
その星を支えに、それぞれの場所で、二人は必死に生きた。
だからこそ、再び巡り合った。
15年の月日を経て、物語は冒頭の光景へと戻る。
私はもう、夫を恋人のもとへ送り出す主人公を、哀れな妻だとは思わない。
これは悲恋の物語なのだろうか。
そうであり、そうではないと思う。
汝、星のごとく。
愛する人が残した永遠の祈りと共に、この先も主人公は、誰のものでもない自分の人生を歩んでいくのだろう。