ネタバレ・感想あり触れられない手できみを好きになったけど、蟹だから後ずさりしない【電子書籍限定版】のレビュー

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サワガニBL、異種族の素敵な愛の物語
ネタバレ
2025年9月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人間に憧れるサワガニのチャロは川で見てきた人間が愛を伝え合う行為「アオカン」をしてみたくて人間の素(白濁液)を飲み人間に。そのチャロを拾ってくれたのがSM風俗店店長のコワモテ龍治。人間の素を与えてくれるのが龍治なんですが、哺乳瓶などが出てきたり面白すぎ展開。出会ってからふたりのヘンテコな会話にお腹が痛くなるほど笑わせてもらい、天真爛漫なチャロに振り回されても放っておけない龍治は根は優しい男。
チャロは人間になれても触れられない手=シザーハンズなので、日常に支障をきたし龍治を抱きしめることもできない。それでも前向き。後ずさりしない。順調にふたりの心の距離が近づいていき、likeではないloveの好きをチャロが知ったときそして龍治がチャロに心を開き愛を知ったとき、チャロの寿命がそんなに長くないことが判明。
前半が面白すぎ、後半はチャロが健気で愛を知った龍治もチャロとずっと生きていきたいと願うのに…現実はそれを叶えてはくれず切ない展開に咽び泣きました。命が終わるときのチャロが懇願した龍治の中で永遠に生きていくための術に大号泣です。しかし、安心してください。チャロが転生して龍治と再会できたときは本当によかったねと感じ、温かい涙が溢れるラスト。
タイトルの「蟹だから後ずさりしない」チャロの気持ちが伝わって龍治も徐々に心を開いていく過程やチャロが身を挺して龍治のために守ったもの(蟹ならではの自切も登場します)がBLなのに本当に素晴らしい愛のお話で、久しぶりに素敵な作品に出会えたと思う。サワガニBL⁈なんて躊躇っている方はまず読んでみてください。絶対に読む価値ありです。
ギャグ要素もありで、ふたりの漫才のような会話もおすすめ。自切も蟹の死ばさみも歌うことが好きなチャロが覚えた歌(歌舞伎町の歌って感じ)なども再会のときに伏線回収になります。ラストで全てが腑に落ちる展開も素晴らしい。
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ジャンル: ライトノベル BL小説 / 先行作品
出版社: 二見書房