このレビューはネタバレを含みます▼
実在の人物を題材に小説を書くという難題を見事に熟(こな)して、全ての登場人物に新しい息吹を吹き込んだ小説がこの本です。
主人公たちの生涯の年表を基に、それぞれの登場人物たちが生き生きと甦りました。
私たち自身の現在までの一生でさえ明瞭とは言えないのですから、過去に生きていた人々のある時までの一生はほとんど分かっていないとも言えます。
ですから、それぞれの人々をどの様に描くかは、小説家の裁量に任されます。
幼少期から成人していく過程まで、違和感なく主人公を中心とした物語の世界に浸ることができました。
幕末から明治時代という激動の時代を生きていた人々の暮らしは今の私たちには想像もできない程大変だったでしょう。
米国の優れた技術と生活様式の中で少女期から生活できたカシは幸せな人生を歩むことができました。
それは、時代の流れを読んでカシの能力に応じた場所に連れて往ってくれた実父のお蔭でもあるのです。
私たちは自分の能力や適性に中々気付かないまま成長していくことが多いのです。
自分でいち早く気付くことができたり、周りの人に見いだして貰えたらどんなに有難いかと思います。
素晴らしい物語を読んだ読後感は言葉で語り尽くせません。
人それぞれ感想は違ってくると思いますが、何か目標を持って懸命に努力する人を読む楽しさが読書の醍醐味なのでしょう。