ネタバレ・感想あり宙い夢に棲むのレビュー

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優しい世界?
ネタバレ
2026年1月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前半は、主人公の絵里が可哀想すぎて読むのが苦しかった。
夫がゲイならしょうがないね、とはならないよ。
「いい人達ばかり出てくる」「優しい世界」という感想をネット上でちらほら見たけど…うーん。
絵里が両親の介護に明け暮れる間に、夫の徹朗は不倫。
不倫相手のロムさんは海のように心が広い。らしい。
既婚者って知ってても「心が広い」がゆえに徹朗を受け入れて、結果略奪。
絵里がショックで弱った姿を見て初めて、罪悪感を抱く。
想像力が欠如して人を傷つける人は、優しい人ではない。
「寛容な人」と「優しい人」はイコールではない。
絵里がロムさんを早々に赦した理由が、正直理解できなかった。
離婚が成立するまでは一線を超えないような誠実な人なら、「まあしょうがないなー」と思えたのに(サレ妻的にはプラトニック不倫も辛いもんがあるが)。

多分、ロムさんが男性だったからだろうと思う。
住む所がない時に、快適な家を提供してくれた。
右手を骨折している時に、食事を用意してくれた。
熱が出ている時にハグしてくれた。
癒し系ボイスと雰囲気。
不倫相手が女性なら、こんなの逆に病む。
女性の自分と男性のロムさんを比較するのは難しく、「もし出会い方が違っていたら恋していたかも」と思えるくらいの魅力的な男性で(ここ大事)、そもそも夫はゲイだからどうしようもなくて、嫉妬心敵対心羨望心は湧きづらい。
残ったのは、幸せだった結婚生活への未練。

絵里が新しい仕事と新しい恋を通して、執着を手放し自立していく後半は、面白かった。
仕事はどれもうまくいき過ぎだけど、前半が苦しかった分、サクサク進んで気持ちよい。
専業主婦のクライアントが変わっていく過程は、もう少し詳しく見たかったかも。

とか思っていたら、終盤にとんでもないホラーがぶっ込まれていた。
不倫が始まった頃、ロムさんは「もし徹朗と絵里が離婚しても親友になって、自分も含めて三人で家族みたいな関係になりたい」という夢を持ったらしい。
…。チョット意味分カンナイ。シタ側ガ何言ッチャッテンノ?
で、サンちゃん(とある縁がきっかけでロムさんと知り合い、今では仕事仲間)が「絵里ちゃんがロムさんの夢を叶えちゃった」と言うと、絵里が「あなたも入れて四人で家族よ」。
怖い怖い怖い!
これを「優しい世界」と言うのが多数派なら、私の感性は世間とずれているらしい。えーマジか。
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作家名: 谷ユカリ
出版社: 双葉社