ネタバレ・感想ありきみが忘れた世界のおわりのレビュー

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過去に触れることは前へ進むことでもある
ネタバレ
2026年5月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 記憶を失った青年が、亡き幼馴染の輪郭を絵の中に探し続ける――その営みが核になっている物語

死者の視線を交えながら進む語りは独特で、人物同士の境界が揺らぐ感覚が、喪失の痛みをじわじわと染み込ませてくる
美大生たちの創作への焦燥や、自分の中にある「本物」に届こうともがく姿も印象深い
とりわけ、断片的な記憶や癖、小さな仕草から一人の人間像が浮かび上がっていく流れが巧みで、青春小説としての瑞々しさにも満ちている?
読む側をあえて宙吊りにするような構成のため、序盤は戸惑うかもしれない‥けれど、その不安定さこそが、主人公の心の欠落と綺麗に呼応している

喪失を題材にしながらも、読み終えたあとには「過去に触れることは前へ進むことでもある」と思わせてくれる再生譚
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作家名: 実石沙枝子
出版社: 講談社
雑誌: 講談社文庫