このレビューはネタバレを含みます▼
失踪した姉の不在が、ひとつの家庭だけでなく、田舎町そのものの空気をじわじわと歪めていく‥その息苦しさを、高校生の少女の視点から容赦なく描き出す
周囲の好奇の目、壊れてしまった母、責任から距離を取る父――大人たちの未熟さを真正面から受け止め続ける晴奈の姿が、とにかく痛々しく、そして強い
とりわけ印象的なのは、家族を守る役目を押し付けられた少女の怒りと諦めが、日常の細部にまで染み込んでいるところ
読んでいる側まで胸の奥を締めつけられる‥
一方で、ただ苦しいだけの物語では終わらず、行方不明の姉から届く声をきっかけに、止まっていた感情が少しずつ動き出していく展開には、不思議な余韻があります
青春小説のかたちを借りながら、本作が見つめているのは「残された側」の人生なのだと感じました
傷ついた人間が、それでも前を向こうとする瞬間の描写が鮮烈だった