さいとうたかを先生の訃報をきいて、先生の作品を探して読んでいたところこの作品に出会いました。遊女、遊廓というと江戸時代の吉原を思い出す人が多いかもですが本作は大正・昭和の遊郭の話。さいとう先生というとゴルゴ13のような骨太、ハードボイルドな男の世界を描く人のイメージでしたが本作を読んで、なんというか表現が難しいのですが、女の、廓の世界の匂いや湿度までも伝わってきそうなほど。
日本の近代化という光の影、戦争、貧困の犠牲者として彼女たちがいたことを本作で知り、忘れてはならないと思います。個人的に心に残ったのは、知能に障害のあるために親に売られてしまった遊女の話です。