最初からアレックスはデボラに恋している設定のようだが、あからさますぎていてトキメキが無い。例えばデボラの背中を目で追うようなシーンとか、彼女を必要以上に見つめるなどだが、表情も含めて全く無い。それが情熱を感じさせてくれなくてがっかりだ。デボラもアレックスに惹かれているのにそれをひた隠しにし、理想の夫に成り得ない対象としているからロビンという男をその役割に当てはめているだけ。そこは良い。しかし、デボラの結婚を壊し自分のものにしようと画策するアレックスの感情の動きが全く見て取れないのはナンセンスである。これからの展開がどうなるのかワクワクする気持ちをあっさり切り取られてしまっているのでつまらない。読み手はアレックスの奔走するところが見たいのである。デボラにおいては、婚約解消の電話するタイミングはいくらでもあった。あえてギリギリまでそれをせずにいるのは彼女の心理はやはりアレックスと結ばれたいというところ。穏やかな愛情を求める裏腹で危ない男に惹かれていくデボラなのは伝わるけれど、もっと理想と現実との間でモンドリウッテほしかった。