最終巻を手に取って再レビューしたくなったので、最終巻の感想を書きます。
この作品には本当に様々な感想が寄せられていますね。
レビューを読んでから漫画を読む派の人にとっては、「ハッピーエンドじゃない」という一読者のレビューを読んで、読むのをやめておこうと回れ右した人もいたと思います。
たしかに、リアルタイムで読んでいた人々にとっては、最後までラブラブな2人が見たくてずっと追いかけていたのだろうから、きっとショックだったんだろうなと予想できます。
漫画なんだから、夢見させてくれよって気持ちもとても分かります。
ただ、時間を置いて最終巻を手に取ってみると
この作品って、ハッピーエンドとか、バッドエンドとか、そんな簡単にジャンル分けできるラストじゃないんですよね。
涙流したからって、あなたが隣にいないからって、決して不幸になったわけではない。
いつか訪れる「終わり」まで描く少女漫画って、本当に珍しいと思います。
大体の少女漫画が、付き合えたら終わりだったり、相思相愛のまま終了しますよね。
でも現実の恋愛って、初恋の人とそのまま結婚して、死ぬまで添い遂げる人なんてほんのひと握りしかいないのではないでしょうか。
別にどちらが悪いわけでもないけど、別れが訪れることもあるでしょう。
この作品は、そんなどうしようもない「別れ」までを描いた作品で、逆にすごいなぁと思いました。
きっと描くにあたって反対の声もあったでしょうし、実際に描いてからは、なんでこんなラストにしたのっていうファンからのリアルな声も聞くことになってしまったでしょう。
それでも自分が描きたかったものを描くことを貫いたのは、純粋にすごいなと思いました。
だからこそ、ありきたりな恋愛ストーリーではなく、そのリアルさが心に残る作品になったと思います。
最終巻はもっと世堂が出てくるのかと思いきや、あくまでこれは帝斗との恋のお話だったんだなと思わせてくれるのが良かったです。
上手くいかなくなる日がきても、恋をし一緒にいた日々を、2人とも後悔していないのが素敵ですね。
自分ではどうしようもない別れが訪れても「彼と恋をして良かった」と言える想い出になるなら、それはハッピーエンドと呼んでも良いのではないでしょうか。
帝斗はあまりにも良い男でした。最初のあめりは嫌いでしたが、最後は少し好きになれました。帝斗のおかげです。