無料で楽しめる作品として紹介されていたので興味本位で読んだらまぁ可笑しいこと面白いこと楽しいこと。自分自身がこんなに鉄道ネタでウケるとは。
各線の個性クッキリ、台詞がいちいち突くとこ突いてツッコミ上手。皮肉なイヤミになりかねないウィークポイントもいじられキャラに落とし込めば、サクッと笑いへ転換。なんとも楽しい鉄道達のぼやきやニッチ情報に親近感が不思議なほど湧いてくる。
この無料版、最近の話ではなくて10ー20年位前の新線開業事情や運行開始時のネタで、当時を振り返るとそれもあぁあぁウンウン事情はわかる、と。時が経った故に当時報道等から得ていた知識から懐かしく思い出しもするし、そんな感じだったのね、と理解も深まる。
東上線のキャラ把握が的確すぎて、秩父鉄道や西武とのあれこれが申し訳ないけど結構笑わせて貰った。確かに西武軍団のイメージビジュアル化はそれが正解に思えてくるエピソードの拾い方。また、副都心線のキャラも、立ち位置といい振る舞い方といい、確かにそんな風に動いてたな、と、納得の設定で可笑しい。××のセンスはすごい、だとか、遠回しのシニカルさがまたいい。クマ、はらぺこまちなどなど、一個一個小粒でも、ピリリと効いてくる。何線か顔を合わせての台詞がいちいち的を射るという、光景そのものがシュールなのに謎の説得力がリアルを支える。「ジュニア」の兄弟分達の言い争い?主張のし合い?がなんとも、互いに似てるのに充分個性あるんですと言わんばかりの感じにプププと来てしまう。それを言ったら武蔵野線もそう。東西線もそう。グチをこぼしてるとも、乗客の印象ともリンクした現状を訴えてるとも、取れる遣り取りが、解る人には大いに解る論点で。
固有の事情や歴史を個性と捉え、本当に深く理解している人が、「愛」もあるいじりをしていて、全て短いながらも利用客としての視線と運行側の背景事情ミニ解説とのバランスの取れた漫画仕立てで鉄道を血の通った存在にした。冷静で現実的な比較や分析が下地にあり、この漫画が、乗り物としての車体=器というだけよりも、各鉄道路線が一体の存在として、たとえ同じ鉄道会社系列であろうとも個別に各路線を捉えて、線毎にキャラを立たせたのが凄く有効にストーリーを動かしていて、読んでいてそこに共感有るからこそ、笑えてしまう。首都圏在住者なら頷ける筈。
お勧め無しには自分から手に取ることは無かった。