また、吸血鬼の物語です。最近ハマってます、吸血鬼もの。
なぜかわからないんですが、表題作の『花と純潔』は読んでる最中ずっと胸がギュッとなって切なかったです。感覚的なものなので言葉では表現し切れないんですが、どうしてか終始苦しかった。千歳の事が好きなのに、ただ「食べ物」としてしか扱われていないんだ、という弥生の心哀しげな気持ちに過剰に感情移入してしまったのかなあ。
言葉での描写も少ないしすごくシンプルな作風なんですが、すぐに作品の空気感に引き込まれてあっと言う間に読み終わりました。
同時収録短編作品もとても好きな作品でした。夏目漱石の『吾輩は猫である』の世界観がモチーフになっている作品ですね。閣下も気高く美しいんですが、閣下の"美しい人"とその想い人との結末も素敵でした。