年の離れた「ふたり」が三組登場します。一組めは、男子高校生と女子小学生、恋に進展しそうなのに男子高校生側の心情的な年齢差への忌避感でくっつけない二人。二組めは、絵画講師の青年と、妻を亡くしたばかりの老人(この妻を巡ってライバルのような、疑似親子のような二人の話がとても好きです)。三組めは、職場で先輩、後輩関係にある恋バナ大好きフンワリ系アラフィフ美魔女と、恋バナ嫌いの硬派なマラソン女子の友人になりそうでなれないふたり(一巻では、精神的百合?百合なの?とめちゃくちゃ期待が膨らみました)。一巻読了後では、引き込まれて続きが読みたくて仕方がなかったのに、二巻の終わりでは、それぞれの別離が描かれ、それぞれの関係性がぐしゃぐしゃに壊されるので、まるで生卵を床に叩きつけられた現場に向き合うみたいな、え…どうするのこれ…と、悲しくて仕方がない、やるせない気持ちになりました。三巻では、それぞれの結末が描かれますが、穏やかな幕引きで終わりますが、二巻のしんどさが忘れられず、ほろ苦い気持ちでそれぞれの行方を見守るかんじでした。思うに、二巻と三巻で、作中時間が流れすぎてしまっています。疑似親子を除いて。なので、二巻でストーリーとしては終わっていて、三巻は補足、あのあとどうなったのか…とか、そのときのふたりの気持ちはどうだったのか…とかを知っても、二巻の別離エンドで物語は終わってしまっているので、作品が暗いエンドに感じるのだと思います。