1、2巻各160ページ強。
完結マークが付いてませんが、きちんと完結しています。
上海租界のイメージの、西洋と東洋や汚濁と美しさが入り混じるカオスな都「新上海」が舞台。そこに、植物と鉱物などを融合させる「混一」という設定が華を添えて、法も倫理も跳び越えた享楽主義のダークな耽美の雰囲気に厨二心が躍ります。ほら、表紙からして眼帯ですし。
絵がとてもきれいで、光を放つよう。
主人公の空洞な無垢さ、信仰と背徳、復讐による救い、双子の悲劇、最初から最後まで安易なハートフル方向に行かず、満足です。ちなみに、自分なりのラストの解釈は、作画担当の方とは異なりました。
原作担当の方によりますと、宮澤賢治と夢野久作を混ぜたような方向を目指したとのこと。宮沢賢治は行方不明になってしまったそうですが、冒頭に描かれた桔梗と硝子の「混一」の姿に、名残が見えますね。『十力の金剛石』のイメージを形にして見せてくれたようで、気に入っています。