ハーレクイン(以降、HQ)で腕が有り余っていると感じたので、こっちを読んでみた。
絵のうまさはもちろんのこと、話作りとそのひとこまひとこまの切り方もすごい。時代物を描けるのは、見た目だけでなく、言葉や、その頃の雰囲気も、読者に掴ませて違和感無いということ。細やかに情緒豊かに、そして先の話を想像させない独自性を見せつけられた。
その時代の超能力者なんて、面白い。
しかし、能力は、人と違ったものを持つ、という意味で悲劇を生んでしまう。持てるものの悲哀がとことん表されて、このストーリーにカラッとしたところは無い。
いやーよく描かれていて物語に引っ張りこまれた。
こんなにお力あるので、HQだけではないフィールドでもご活躍していただきたいと思う。HQは原作ありきの世界。ほぼパターン化された物語展開ではお力を見せつけ足りずに終わってしまう。そこでは、山口先生のこの素晴らしい創作力の翼が全然広げられない。
HQ漫画の中には、力が及ばない作家のいまいち作品も多いし(避けるの大変)、何より原作にしたって、なんだかなぁ、というのがたくさんある。だから、いきなりあっちのコミカライズご担当として、彗星の如く現わる、だったのだろうと思うが、そんな狭いところにだけ居ないで欲しい。ラブストーリーもお上手だが、それだけではない先生だ。表現方法は読み手の流れを意識的に汲んでいるようで、少しも奇をてらっていないところが、読んでいて読みやすくて親しみの持てる作風に繋がっていると感じる。台詞も生き生きしている。
ホント実力者であることがよくわかる作品だった。