隣に住んでいる7歳年上のお兄さんに恋をする女の子。その彼が治療でコールドスリープして、目覚めたら同級生になっていたというお話。
コールドスリープという発想はとても面白く、斬新な設定だし、夢のようなお話だと思います。ただ、実際に身近な人や大切な人が眠ってしまった時の置いてけぼり感や寂しさなどがとても丁寧に表現され、目覚めてからの本人や周囲の戸惑いぶりもリアルに描かれていると思いました。
7年という時間や同級生になるという変化に絃は戸惑いよりも嬉しさを感じていたように見えたし、気持ちも押せ押せだったのに、千遥が振り向いてくれそうになってからのグダグダはちょっと中途半端に見えて少しイラッとしてしまいました。7歳差があった時の大切に守られていた感じを忘れられずに戸惑う気持ちを恋人になれる直前に出してくるのはずるいと思うし、7年眠っていて誰よりも戸惑っているはずの千遥の気持ちが蔑ろにされている気がして、何だかスッキリしないハピエンでした。
途中からは絃の側にいて、自分の気持ちを犠牲にしてまで絃の為に行動する弥太郎の切ない気持ちが響いて、彼の気持ちに寄り添いながら読みました。弥太郎は誰よりもコールドスリープに対して真摯な姿勢だったように思います。なので、最後に弥太郎が幸せになってくれて良かったです。