著者単行本1冊目。
話の間にはさまれている散文も趣深く、夢想を漂うのが好きなタイプは是非どうぞ。
長さバラバラの18篇入り。
以下、好きな話の感想。
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・『魚の話』(4p)「たすけてー」とか人語を発する喋る鯵。理解してない?ほんとうに?
・『innovation』(31p)発電所でのアルバイトでひたすら椰子の実を割る。こういう、工場の秘密、みたいな話はとても楽しくて好きです。休憩時間にココナッツジュース飲み放題って良いなぁ。
・『パイナップルをご存知ない』(14p)パイナップルの実はどのように生えているのか調べに行く話。生のパイナップルを見た事のなかった子供時代に戻った気分。実際のパイナップルのなり方って、一瞬、雑コラを疑うものがありませんか。
・『方彷の呆』(39p)真昼間の電車でのうたた寝、慌てて降りた駅は知らない奇妙な町。「駅前商店街駅」というネーミングセンスが大好き。うたた寝でハッと起きた時の微妙に世界がズレた感じや、迷子の不安感、遺失物センター。知らない街を歩く、どこか浮遊感のある魅力。
・『気味』(4p)晩秋の夜のこいのぼり。
・『鍋』(4p)闇鍋ならぬ明鍋。ふふって笑っちゃう。
・『THE PERFECT SUNDAY』(31p)完璧な日曜日のための下準備。こういう準備ってとても楽しい。そして完璧にならなかった時の絶望感のすごさったらない。
・『計算機のこころ』(12p)イルカの頭脳を利用した計算機というなかなかおそろしい設定。お話はほのぼので、なんか良いなぁって。