登場人物たちは、最近流行りの発達障害的などこか欠落のある人ばかりが織り成す『人間社会溶け込み大作戦』て感じ。作者さん的にはオシャレでウィットのきいた恋愛映画……みたいな感じにしたかったのだろうと思いますが、登場人数が多すぎて掘り下げが浅い印象。ほぼ20話までは作画を楽しむのとキャラクター把握の時間です。内容は薄い。
多様性をテーマにしているので、登場人物の多さは演出的に必須要項だと思います。ですが、作者さんのキャラクター抽出力が低いので、20話までは展開がなく、登場人物紹介や設定で済む内容です。21話辺りからやっとストーリー性があります。あと、他の人も言ってるけど、外国の作品ですので、登場人物名を無理に日本風の名前や日本のお話にしない方が馴染みやすいです。外国の漫画だからヤダ、なんて低俗なレイシストの言うことを聞く必要ありません。
【以下気になった点】
漫画力、翻訳、文化または嗜好の差。
まず、漫画力。映画が好きな作者さんなんでしょうか。画面が絵画的・絵コンテ的で、漫画としての演出表現はとても控えめで婉曲迂遠です。漫画的(漫画特有の)表現や演出がほぼ皆無。しかし、漫画はデフォルメの文化なので、映画なら役者さんが芝居で表現してくれる目に見えない心情を漫画的演出で表現しなければならない。低評価をつけた人たちのあげてる『難解さ』『とっつきにくさ』はそこに起因してると思います。作画やデッサンは本当に美しいので、もったいないです。
次に、翻訳がイマイチ。海外作品の翻訳にしては口語なども良く理解してますが、翻訳家さんの作品そのものへの読解度(興味)が浅いのと、日本語自体が難しすぎる点。日本語が母国語の人ですら正確に話せる人は多くないので、いわんや母国語外の人をやです。おそらく母国語のままなら、もう少し読みやすかったのかも。
最後に嗜好ですが、作者さんは(多分)多様性を描きたかったのだと思います。思いますが、多様に描きすぎて、何の話かわからない。伝わってこない。おそらく頭の中もとっちらかったまま描いてしまったのかな、と思います。シングルタスクタイプの人がマルチタスクをやってしまった印象。そのせいで、作品やテーマは素敵なのに評価が低迷してしまうのかなと思います。翻訳以外は作家さんの担当編集さんの腕次第でいくらでも良くなると思うので、頑張ってほしい気持ちで星五つ!!!