ことば遊びなのだろうか。墜落というのも元は異なるタイトルだったものを編集担当者が文字の読み違いからとsora先生がどこかで説明していたが、灰仁も廃人と引っ掛けていることもあるし、作品の中に冒頭のみならずたとえ言葉遊びにしても「死」関連のエピソードが時折顔を出す。でも、結局その言動の強烈さで人目を引いてはいるものの、そこまで、という感じなのだ。
絵はしっかり、ふたりの間に流れる想いの艶やかさも要所要所で感じ取れるので、教師生徒物としての少女漫画の必須要素を備えている。二人のシーンはいい感じで読んでいて楽しい(煽りがうまい)。
何かあったな、という灰仁の過去や、JK兄のことも謎をふりまいている。話を巧みにつなげているのに、各話冒頭にぶつ切れ感があることが多いし、連載長期化に伴う苦肉の新キャラ投入も時々辛そうだ。
8巻まで読んで(現在は既刊は14巻)、一体あとどれだけ続くの?というのが正直な気持ち。当初は廃人という根拠も出しつつの、実はいい教師してるところもちゃんとあるんだよね、という感覚があったのだが、だんだんそこに新鮮さが薄れてきている。これは、大半の教師と生徒物が教師は人気者で明るい、という線とは真逆を行っているユニークさがあり、そして陰があり、廃人と呼ばれて仕方のない言動を取らせる、というキャラと実は原因とかが潜んでいるという興味に繋がっていた。
JKもお友達に恵まれるような愛されキャラに無理にしていないところも魅力だったので、灰仁が唯一心を通わせ合う相手、となった様子や、笑いを取りに行くような場面などがいいバランスを取っている感じがする。扇言(みこと)ちゃんの危なっかしさも、いわゆる少女漫画的な頼りない危なっかしさや怖い者知らずの危なっかしさなのではなく、ネガ思考が進む危なっかしさ。もともと太陽の下で堂々、という関係にはなりえないだけに、二人が人気者だったりもてすぎるというのを避けたのが成功している話だ。
このあとを買おうかやめようかどうしようか、ととても悩んでいる作品だ。