【いとなみいとなめず】の人気作品で、この作家さんのファンになりましたが、表題作の絵というより、作品全体が醸し出す、温かなほっこりした雰囲気に癒されます。みのりちゃんは天然が入っている、女のあざとさが微塵も感じられない平和ボケしたかのような、おっとりしたほんわかガール。お相手の金城くんは、クールな外見に似合わず、巨根がコンプレックスで、自分から恋愛を遠ざけている残念なところもあるが、至って紳士的に、彼女の悩みに対し、『コンプレックスの部分も、自分の一部だろう!』と励ます心根が優しい、いい男。ラブストーリーにありがちな、悪い性格の恋のライバルも出てこないし、ヒロインの先輩も、恋の相談役になったりと、安心して読むことができます。ヒロインの台詞の一言一言が本当に心に響いて、エッチができない悩みがありつつも、ヒロインが、彼氏を一途に想い、あえて目をそらさず、自分開発しているところも好感がもてます。双葉社の男性向け雑誌掲載で、Hの描写もありますが、決してエロくなく、爽やかな読後感がありました。表題作は続編含め3篇。唯一のマイナスポイントは、他の2作品の雰囲気が、このほんわかした作品とは、真逆の切ない片想いの話ですので、表題作とのバランス、読後感が全く違うので、同時掲載としてチグハグに思えました。別の作品集として、発売すればよかったのに…兄妹ものの、妹の兄への叶わぬ恋の話と、ずっと好きだった幼馴染からの告白を待ち続けていたのに、実は、彼女持ちの幼馴染にはヒロインへの恋愛感情はなく、気持ち的に、とっくの昔に振られていたヒロインの恋のお話は、別掲載して欲しかったです。この2作品のヒロインが痛々しくて、相手への叶わぬ恋心が切なすぎて物悲しくて、あえて、この作品には同時掲載しなくてもいいのではないか…と思いました。