主人公の伊勢新九郎盛時(後の北条早雲)の生涯のお話。以前は素性不明の素浪人とされていた伊勢新九郎だが、最新の研究結果を反映した出自となっている。
とにかく新九郎の生きた室町時代後期は波乱戦乱続きで、敵味方も一族入り乱れて分かりにくく、今までこの時代が舞台のコミックはほとんどなかったのでは…?
その難解な時代の話でも、ゆうきまさみ先生が登場人物に上手く個性付けして、話し方もある程度現代風にしながらも時代考証もしっかりとしていて、解説も上手く挟みながら、非常に読みやすく分かりやすく話が進んでいく。
戦国時代の話の漫画は数多くあるが、戦国時代とはどのようにして始まったのか、それをしっかり理解するのに最適な作品になりそう。ゆうきまさみ先生がまさか歴史マンガを描くとは誰も予想していなかっただろうが、流石の面白さ読みやすさ分かりやすさ!
そしてこの作品を見て改めて感じたのが、ゆうきまさみ先生のキャラクターの描き分けの上手さ。美男美女でない普通のおじさんやおばさんが実は上手く描けない、という漫画家はかなりの数見てきたが、ゆうきまさみ先生の作品の登場キャラたちは皆、現実世界にもいそうな顔かたちのキャラが多く、一番それを感じたのは、この作中で脳梗塞による半身麻痺になったキャラの表情のリアルさにはかなり驚かされました。