1巻は短編が5篇、2巻は丸っと1冊一つのお話が収録されていました。「オーバー ドーズ」は「ピンキーは2度ベルを鳴らす」にも収録されています。絵が上手くて読みやすいです。購入のきっかけも、印象的な表紙の絵でした。青年漫画によくあるエロやグロはしっかりあり、特に2巻は描写がキツイので苦手な方にはお勧めしません。
どのお話も、今までギリギリで均衡を保っていたところに、何かのきっかけでバランスが崩れて崩壊していく様子が描かれていました。一旦バランスを失うと、日常の全てが破滅を助長するというか、行くところまで行かないと止まれない。決壊したダムの様に、もう元には戻れない。登場人物達に感情移入することが難しいのに、画面から目が離せなかったです。成り行きを、ただただ何も判断せず、傍から眺めているような感覚。ラストも、それが希望なのか絶望なのかわからなくて、やはり眺めているだけな私。だからなのか、読後は精神的に疲れることもなく、むしろ心が凪いでいました。何年後かに読み返したら、また違う見え方をするかもしれない。万人にお勧めできないけれど、私は読んで良かったと思います。