ネタバレ・感想あり一条ゆかり長編集のレビュー

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りぼん誌の大人っぽい漫画集
2024年5月14日
とある情報で、りぼん誌の別冊付録だった、という作品を読みに来た。
今まず第2巻。「雨のにおいのする街」128頁1972年8月号、「摩耶の葬列」同年7月号128頁。
発表当時のことを考えると、なんて凄い漫画家だろうと思う。「時代がかった村、ここだけ時間が止まったような村」など、成る程引き込んでくる。
出逢いの力に抗えない二人のSF的な作品だとか、サスペンスを混ぜながら同性愛を題材にした作品だとか、その果敢にして攻め姿勢を貫く創作力に脱帽。
この総頁数に、2編しっかりと入ってることが信じられない。頁数稼ぎの無駄遣いな脇道逸れのエピソードがない。既に確立された一条ゆかり先生の絵柄の雰囲気ぷんぷんの一方、当時の大衆生活臭がない、先生の構築されたある種の特殊な環境描写の説得力、読み進めるうちに主人公達の置かれたポジションの微妙さがどんどん伝わる。
次は第1巻の予定。楽しみだ。
第1巻読了。「春は弥生」1972年4月号、「おとうと」同年6月号。この分量なら今なら普通に短編集の感覚なのに「長編」で通る内容だから恐れ入る。「春は弥生」は主人公は一体何処に行ってしまうのか、を読み手として振り回されながら当て馬の彼を気の毒に思った。「おとうと」は、“ザ・一条ゆかりの世界”を見せつけられて、こちらの当て馬にも思うところ頻り。
後は第3巻。翌15日追記。
第3巻は、「9月のポピィ」1972年9月号、「クリスチーナの青い空」同年5月号。3巻全てが1作品128頁だった訳だ。ご多忙の時期にこれだけ続々作品を作り出した旺盛な創作力、同じ年の発表作品を検索すると「恋はお手やわらかに」、「さらばジャニス」、「セントメリーの牧師さま」(「雨あがり」に収録)と量に驚かされる。しかし中表紙に月間スケジュールなるものが描かれ、かなりのオフを入れているように見えてもっと驚かされる。
「9月のポピィ」は初恋の人の話。「クリスチーナの青い空」は戦争が遠くなっていた日本の読者に戦争というものを伝えようとした意思を感じる話。後者は重い。こういうものもちゃんと入れてくるところに気骨を感じさせる。ただの甘いロマンス作家でいるわけではないと。
第1巻から第3巻までの全6作が、「一条ゆかり全集」と銘打って刊行されたらしい。幅広い領域を硬軟混ぜて描ききった、活躍ぶりが窺える『全集』。
高校1年でデビューされて第一線の少女漫画家でらした先生の、初期の勢い余るお力に圧倒された。
懐かしの作品集
2024年11月6日
たぶん「デザイナー」で一世を風靡する前の一条先生の初期の名作が読めます。どれも
懐かしく夢中になって読んだ作品はでした。第三集まで。「春は弥生」「おとうと」「雨のにおいがする」「摩耶の葬列」「9月のポピィ」「クリスチーナの青い空」が収録されています。子供の頃は一条先生の作品を読んで、大人の世界を垣間見た気がしたものでした。
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創作物で描かれる人間的な登場人物たち
2021年4月28日
『雨のにおいのする街』
マイヤが完全に悪者になりきれずにいる部分が、
前半までの打算的な恋人選びだったり、
追い出す(=視界に入れない)程度の、ある種優しい判断も相まって、
現実の人間のような動きだなぁと感じました。

『摩耶の葬列』
こちらも人間的な葛藤に各登場人物が苛まれていて、誰の揺れ動く気持ちも理解できる描き方がすごいな、と。
仮にとある人に酷いことをされた時、どこ・誰まで恨むのか、そもそも恨んで復讐すべきなのか。
複雑に絡み合って進む運命の先で、例え苦しくても、
せめて玲奈ちゃんは幸せに生きていってほしいなと感じる作品でした。
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体感的にはもっと大ボリューム
2024年1月11日
長編てこんなに長いんだと体感がページ数よりも多く感じるほどハード系でした。ストーリーが読み応えがある証拠だと思いました。
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古いが
ネタバレ
2023年7月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 古い作品ばかりですが、りぼんの中では異色の大人っぽい作品が各巻1話は入ってます。
「摩耶の葬列」は早く警察呼べよとしかw
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